行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

働くこと(「アリとキリギリス」をもう一度考える)

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 けさの新聞に掲載されていたヤマザキマリさん(漫画家)の文章が面白かった。その中に「お金にならなくても、やるべき仕事がある。それが芸術だ」ここにじーんと来た。

 もうひとついい言葉があって「ヨーロッパの人はお金になる仕事がいいと思わない。芸術家になりたい人を応援します」うぅむ、すごいな。

 一応この世の中の価値はお金で測れるんじゃないの? 実際お金は生きていく上で必要だし・・・と何となく考えている人が多いのではないか。

 ここで話が先日の「アリとキリギリス」に戻ってくるんだけど、あの話、もともとのイソップ寓話では「アリは真面目に働く人、キリギリスは遊んでばかりの怠け者」という構図ですから、俺なんかキリギリスだよなぁ、若い頃もっと頑張ってれば今頃いい暮らししてたよなあなどと思ってしまう人も多いでしょう。

 しかしトニ・モリスンさんの絵本「どっちの勝ち?」(みすず 書房)では、アリはこじんまりした一軒家に住んでいて妊娠中の妻もいる、どこにでもいる小市民。キリギリスは独創的な歌でみんなを惹き付け楽しませていたけれど、冬が来たら一文無しで食べるものさえない、でも彼はアーチストなんです。アーチストは歌を作って歌うのが仕事なんじゃないだろうか!?

 ヨーロッパの人はキリギリスを暖かい家に迎えいれてスープを飲ませ、そして彼の歌に耳を傾ける。日本人は黙ってドアを閉めるかもしれない。

 ここで疑問がわきます、働くってなんだろう。お金が一番だとしたら、お金を稼ぐことが働くということになります。

 だとしたら、育児や家事は働くということではなくなります。じゃあ育児ってなんだろう、家事ってなんだろう。これ以前からすごい疑問なんですけどね。

 働くってなんだろう。考えてみると面白い問題です。

 ※ヤマザキマリさんの10代の話、すごすぎる。彼女の母もすごい。著作がいろいろあるのでそれらを読んでみてください、私もそのうち読んでみるつもり