行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

薬師如来を救った話

f:id:kilakilala:20211007200915j:plain

 友人に聞いた話。

 彼女が相続のため実家に帰ると、集落の人たちの寄り合いに呼ばれた。数十軒で守ってきたお堂をどうするかという話し合いだった。これまでは交代で掃除したり仏様にお供えをしたりしていたのが高齢化で維持していくのが難しい。これはもう処分してしまうしかないという。
 「えぇっ、ちょっと待って、仏像は文 化財として価値のあるものかもしれないよ、捨てるなんてとんでもない。博物館か教 育委員会の人に電話してみて、きっと誰か調査に来てくれるから」と私が言うと、

「そんな雰囲気じゃないのよ、もう壊す、捨てるっていう方向に話が決まってるみたいで」

 なんてこった。

 その後しばらくして、彼女からメールが来た。「例の仏像、きららが言うとおり博物館の人に見てもらったよ、そしたらなんと江戸時代中期の薬師如来像なんだって。当時はしょっちゅう疫病が流行っていたから薬師さまを拝んでいたらしいよ。でもお堂はすでに壊してしまった後だったよ」

 お堂を壊したか・・・それは残念、でも仏像は危機一髪助かった。しかし今まさにこの時代に“薬 師 如 来”って、話が出来過ぎてるなあ。きっとご加護があるでしょう、合掌。

 皆様もそういう古いものが身の回りにあったら、すぐに捨てたりせずにまずは博物館の人に見てもらってください。ひとつでも大切な文 化財が失われないように。それがきららの願いです。

 

(「イラストでわかる日本の仏さま」日本の仏研究会/中経の文庫)