行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

男に必要なこと

「飛ぶ教室」(エーリヒ・ケストナー著/新潮文庫/池内紀訳)を読んだ。子供の頃読んだ気がしていたが、どうやら初めてだったようだ。

少年たちの成長の物語。と文庫の裏に書いてある。その通り。

大切なのは、「道理さん」「禁煙さん」と呼ばれる大人たちの存在。二人が教えてくれるもの。それは少年にはなくてはならないもの。

多くの男たちは部活だの学校生活だのバイト先だのでそういう大人に出会い学んでいくのだろう。息子を育てていて思い当たるふしはたくさんある。

先日読んだ「珈琲と煙草」(フェルディナンド・フォン・シーラッハ著/東京創元社)の中の一節を思い出した。

「男に必要なのは三つの事柄だけだ。・・・なにかをはじめるときは勇ましく、失敗しても潔くそれを受け止め、人にはやさしくあらねばならない」

くぅ~っ、格好いいな。これだけ揃っていればいい男だ。

「飛ぶ教室」の少年たちは、道理や正義・・・正しいこととは何か、どう行動するべきか、友人を思いやるとはどういうことか、大切なことを学んでいく。それがすがすがしい。自分もまだ幼いころに戻って、もう一度こんな人に出会えたらなぁ。そういえば昔こんな友達がいたような気がする、今どうしているだろう・・・

表紙の絵や挿絵もいい。最後の訳者あとがきも必見。こういうのが書いてあるとすごく得した気分になる。ありがとう池内先生。