安いニッポン→未来の年表→文学部の逆襲 と芋づる式に読んできた。「文学部の逆襲」(波頭 亮著/ちくま 新書)が一番面白かったかな。あとの二つは面白いけど少し暗くなります(笑
母校の文学部もいつのまにか名前が変わっていて、「えっ文学部って絶滅 危惧種?」と思ってたらそういう文科 省の通知(2015年)があったんですね。人文系の学部を縮小し、工学・情報系を増やせという。
タイトルが面白いので手に取った、いったいどういう逆襲があるというのか、わくわくして読んだけれど、結果的には逆襲部分よりも、その前の資本主義と民主主義のおさらいのほうが私には面白かった(ホイジン ガのホモ・ ルーデンスなどはもちろん人文 学部出身の私には馴染み深い概念)。そっかリーマン ショックってそういう意味だったのね、米国の大統領選挙ってそういうことだったのか・・・とか、ごく簡単な経済や政治のこともわかってない私には、勉強になった。新聞でもネットでも読めばいいじゃんと言われるかもしれないけど、ここまでシンプルにわかりやすくまとめるのは、やはり書籍にしかできない仕事。
人文知の価値は素人には捉えにくい。テクノ ロジーの進歩でこれが便利になりました、みたいな話はわかりやすいけれど、人文知が何に役立つのか簡単にはわからない。それはなぜかというと、私たちがモノの価値をお金で測るようになったからだろう。
友人知人との雑談でも、年金が少ないとか病気になったらどうしようとか墓に金がかかるとか、カネにまつわる暗い話が多い。かと思えば有名人のゴシップを口汚く叩きまくる。話していていつも嫌になる。
せっかくの人生がもったいない気がする。人生の時間は限られているのだから、もっと違う話をしたいじゃないですか。福祉が行き届いている北欧の国などでは、人々はさまざまな別の話題に興じているのだろうな。
アリスト テレスの「エウダイモニア」という考え方があるという。(詳しくはご自分で調べてください、すごいね。すでにこういう考え方が古代ギ リシアにあったとは。私らは何も学んでいない)
エウダイモニアとは、その行為をすることによって真の幸福を感じる究極の目的となる。私はあの尾畠春夫さんのことを思い出した(スーパーボランティアなどという馬鹿げた名称は使いたくない)。