行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

本の話

男に必要なこと

「飛ぶ教室」(エーリヒ・ケストナー著/新潮文庫/池内紀訳)を読んだ。子供の頃読んだ気がしていたが、どうやら初めてだったようだ。 少年たちの成長の物語。と文庫の裏に書いてある。その通り。 大切なのは、「道理さん」「禁煙さん」と呼ばれる大人たちの存…

好きなように生きる(「珈琲と煙草」シーラッハ)

私たちは悩んでいる人に向かって、好きなように生きればいい、などと軽く言うことがある。 それができれば苦労はないさ。 「珈琲と煙草」(フェルディナント・フォン・シーラッハ著/東京創元社) 弁護士出身の作家の書くエッセイ。この中にクラシックカーを買…

マスコミを罵る人たち

私くらいの年代の男性たちが口を極めてマスコミを罵っているのをよく耳にする。私は内心「いまさら」とバカにしている。今頃罵っている人たちはこれまでマスコミが書いていることをそのまま信じていたのでしょう? まずそこを認めてほしい。「自分は今までマ…

忘れ去られていく日本の文化よ(「江戸絵画八つの謎」)

人はなぜ特定の相手を好きになるのかというのは、脳科学の世界でもまだ完全にはわからない不思議らしいが、友人関係だって「なぜか気が合う人」とはどういうことなのか、突き詰めて考えてもわからない。最初はそんなに意気投合しているとは思わなくても長い…

妄想は妄想のままで

「夢は強く願うと、実現する」と聞いた気がする。若者は夢を持たないとだめだ、と言ったりもする。 夢と言ってもいろいろあるけれど、ある意味で私は夢見がちな少女だった、そして大人になってもまだ。いつも何かを夢見て・・・というか、妄想の世界に生きて…

逃亡願望

最近は紙の新聞の書評で気に入った本をピックアップして読むことが多い。この本もそう。作者の名前も知らなかったけど逃走劇が面白そうだなと思ったから。 確かに前半の逃走劇は面白い、一気に読ませる。導入のネットからの入り方もリアルで引き込まれる。し…

山の本が好き。

お酒が好きというと、大酒飲みかと思われる。男好きだというと、毎晩男を漁ってセックスにふけっているかと思われる。同じように、本が好きというと、家じゅうが本で埋まっているのではないかと思われる。 でも私はそうではない。酒は好きだけど少ししか飲め…

性善説

性善説、性悪説、という言葉がある。厳密な哲学的な意味はさておき普段の話の中では「コイツももともとは悪いヤツじゃないんだ、性善説というのが本当なら生まれたときには良い心を持ってたはずだ」などと言うわけです。 でも最近思うんだけど、善ってなんだ…

知ることは喜び

先日「戦争インタビュー」という記事で書いたが、「戦争は二度とやってはいけない」「戦争はいけないことだ」と言うのは簡単だが、ではどうすれば戦争を避けることができるのか、なぜ戦争はなくならないのか、なぜ私たちは太平洋戦争に突き進んだのか。これ…

二度と会えない人

先日、部屋の掃除をしているときだったか、ふと、母に面会したいと思った。特に何かがあったわけではない、平凡な昼下がりだった。 母は五年前に亡くなっているのでもちろん会えないわけだけれど、元気な頃はよく電話をかけていたし、亡くなる前もしょっちゅ…

酒の暴力

ネットやマスコミの報道によると、「レイプドラッグ」などというものがあって酒の中 などに混入させ、女性の意識を混濁させたうえでレイプする鬼畜がいるらしい。 ドラッグを使わないまでも、騙して強い酒を飲ませるのは古今東西よくある手だと思う。私の若…

人類はどこから来たのか

人は一人一人違う、多様性が大切だ。その一方で、人は生物としてはホモ・サピエンスという名前でくくられるひとつの種に過ぎない、一人一人の違いなど小さいものだ。という考え方もできる。 面白い問題である。 なぜ生まれながらに私は日本人だと思っている…

ほんとは好きで好きでたまらないんだよ。

「与謝野鉄幹/与謝野晶子」新学社近代浪漫派文庫 「みだれ髪」新潮文庫 ネット上では、他人の悪口を言ったり何かを叩いたりすることが日常茶飯事だが、それだけの労力を自分の嫌いなものに注ぎ込むというのはどういうことだろうか。 熱心に時間をかけて言葉…

「万葉集に出会う」

「万葉集に出会う」大谷雅夫著/岩波新書 万葉集と言えば、中学や高校のときに教わった歌をひとつくらいは覚えていませんか。私は大学でも教わったけれども、実は大して記憶にない。こんなの日本語じゃねぇよといような生煮えの言葉づかい。防人たちは「妻」…

言葉に隠された差別(「モヤる言葉 ヤバイ人」アルテイシア著

いまだにセクハラとか差別ってこんなにあるんだなあ、女性というだけで苦労することいっぱいあるんだなあと改めて思う。そうやって日本はせっかくの女性たちの能力を生かしきれないままこの数十年、何となく国が栄えていないのも当然だ。 若い頃、職場の新人…

文学部は逆襲するか?

安いニッポン→未来の年表→文学部の逆襲 と芋づる式に読んできた。「文学部の逆襲」(波頭 亮著/ちくま 新書)が一番面白かったかな。あとの二つは面白いけど少し暗くなります(笑 母校の文学部もいつのまにか名前が変わっていて、「えっ文学部って絶滅 危惧種?…

働くってなんだろう

主婦をしていると職業の欄には「無職」と書くことになる。えっ私働いてないの? 家事や育児を毎日してるよね。 仕事と言う言葉は日本ではお金をいただく仕事ということになっている。お金をもらえない仕事は仕事ではないのだ。「仕事ならもっとするけどね」と…

言葉に疲れる

ブログやSNSの投稿を見ていると、「うちのインプレッサくん」みたいに、愛車に「くん」とか「ちゃん」とかつけて書いている人がいて、もうそれを見ると全身がかゆくなるくらいイライラして不快である。猫に「タマ」という名前をつけて、「うちのタマちゃん」…

働くこと(「アリとキリギリス」をもう一度考える)

けさの新聞に掲載されていたヤマザキマリさん(漫画家)の文章が面白かった。その中に「お金にならなくても、やるべき仕事がある。それが芸術だ」ここにじーんと来た。 もうひとついい言葉があって「ヨーロッパの人はお金になる仕事がいいと思わない。芸術家に…

信頼と裏切り

「どっちの勝ち ?(Who's Got Game?)」トニ・モリスン&スレイド・モリスン著 みすず書房 イソップ 童話の「アリとキリギリス」「ライオンとネズミ」「旅人と蝮」をもとに話をもっと深く掘り下げて描いた絵本。小学生から読める。 「アリとキリギリス」ですよ…