行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

山の本が好き。

お酒が好きというと、大酒飲みかと思われる。男好きだというと、毎晩男を漁ってセックスにふけっているかと思われる。同じように、本が好きというと、家じゅうが本で埋まっているのではないかと思われる。

でも私はそうではない。酒は好きだけど少ししか飲めないし、男好きだけどセックスする相手は滅多にないし、本は好きだけれど家に置いてある本はほんの少しだ(定期的に処分している)。

山の本も好きだけれど、登山なんかしたこともない。それでも山の本が好きでもいいではないか。

なんでだろうね。登山は体を動かすという意味ではスポーツのようにも見えるが、他人と競い合うのではなく自分で考えて体力や時間を配分しキツイ中に楽しさ面白さを見出す。そういう過程が読んでいて面白いのである。何となく人の生き方そのもののような気もするし、相手が山や自然ということになると、人間は心が解放されて素のまま有りのままになるせいか、たくまざるユーモアものぞいたりする。

大金を儲けるとか他人に喝采を受けるとか、そういうことのためではなく自分だけの欲求を満たすための行為。本当の意味で欲望を追求してる人たちの書いたもの(あるいはその人たちついて書かれたもの)。そこがいい。

「瀟洒なる自然」(深田久弥著/ヤマケイ文庫)

「旅情という言葉も次第に日本から消えていくであろう」旅情・・・忘れて久しい、懐かしい言葉。