断捨離という言葉はあまり好きではなかったけど、自分でやってみて初めて「ああこれが断捨離というものか、なんて気持ちいいものだろう」と納得した。
何を断捨離したかというと婚礼家具を捨てた、そして過去の自分を捨てた。。
男性はわからないかもしれないけど、婚礼家具を捨てるってかなりすごいことなのだ。なかなか捨てられない。親が買ってくれたものだから。私の母と夫の母と三人で買いに行った家具。でも大きくて邪魔だった。ほかには台所に置く棚(電気器具を置いたり小物をしまったりする奴)と米櫃と大きなコタツ。これらは夫の母が選んで送ってくれたもの。
見合いで結婚したせいか、家具はほとんど親と一緒に見に行って買った。金を出してもらう以上自分の意見は通らなかった(というかその時点ではどういうものがいちばん良いかよくわからないものである)。
それらには親たちの思いが込められていて、正直重く、月日とともに嫌で嫌でたまらなくなってきた。
数年前、私の母が亡くなったとき「もういいや」と思った。もう見に来ることもない。捨てても叱られない。そう思った私は嫌いな家具すべてを捨てた。そうやってモノと親たちの束縛から初めて解放されたのだ。
納戸として使っていた部屋は自分の趣味部屋にした。家具を捨てて過去と決別した。頭の上を覆っていたものが飛んでいって、青空が見えたような気がした。
断捨離って「嫌な人間関係や感情と結びついているモノは捨てましょう」ということなんだと思う。それを見ると嫌な過去を思い出すとか、呪縛にからめとられていたモノ。逆にいえば、どんなにボロでも自分が幸せな思い出に浸れるなら捨てる必要はない。高級かボロか、そんなの自分で決めればいい。