行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

知ることは喜び

 

 先日「戦争インタビュー」という記事で書いたが、「戦争は二度とやってはいけない」「戦争はいけないことだ」と言うのは簡単だが、ではどうすれば戦争を避けることができるのか、なぜ戦争はなくならないのか、なぜ私たちは太平洋戦争に突き進んだのか。これらの根本的な問いには誰も答えてくれないし、どうすればいいのかは誰もわからない。「せんそうは、いけないことだとおもいました」では、小学生の作文である。

 小学生への戦争教育だと、「何人の人が空襲で亡くなりました」みたいな話をするのだろう。もちろん空襲があったことは事実ではあるし伝えるべき話でもあるが、戦争は簡単な善悪などではない。死んだ人がかわいそう、だけで終わってはいけないのである。

 私は昭和37年生まれなので学校で教わった知識は、原爆は恐ろしいモノでした、くらいだった。小学生の頃もっと深いところから教わりたかった。華々しい記憶も残虐な記憶も、すべてそれは日本人の歴史なのだから。なぜ教育の場でできないかというと、カリキュラムにそれがないだけで、本来子供達は教えればちゃんと吸収する知力はある。

 「太平洋戦争への道1931-1941」(半藤一利、加藤陽子、保坂正康/NHK出版新書」三氏の鼎談により、1931年から41年までの流れがわかりやすく解説されている。私には知っていること知らなかったことが半々だが、改めて感じたのは、太平洋戦争前夜いかにマスコミが戦争へと囃し立てたか、そしてそれに国民が乗っかって「イケイケ」になっていたか。恐ろしいほどである。

 「・・・米軍の爆撃機が来て爆弾を落としていった、その記憶で「戦争は二度と嫌だ」などというのは「厭戦」「嫌戦」であって「反戦」ではないのではないか」保坂さんはこういう意味のことを言っている。私と同じ考えでうれしかった。そして日本では「戦争観」というものが確立されていない・・・とも言われている。それこそ学校で学んでいないからではないだろうか。戦争観もなければ民族の誇りとか、何も教わっていない。

 最近はさまざまな書物も刊行されているから、戦争を知らなかった人にはどんどん読んでほしい。たまたま今回はこの本を紹介しているけれども、読んで考えるのは自分自身である。頭の中を攪拌されるような感覚、それもまた読書する楽しみ。