行雲流水~きららのブログ

好きな本のことを中心に、日々の想いを書いてみる

発見感

 最近は、数人で話しているとき「あれって、なんだっけ」みたいな話になったとき、気づくと必ず誰かがスマホで素早く検索している。そして検索結果を示してくれる。

 最初は「小賢しい、いらんことしやがって」と思っていたが、まあ今は何でもその場で検索して意味をみんなで了解するのが当然なんだろうと考えて納得している。

 「アヤメとカキツバタってどう違うのかしら」などという話になったとき、「どうだったっけ」「私知らないわ」とかいつまでも言ってるのが年寄りだ、と聞いたこともある。若い人はすぐに検索するが、私などは知らなきゃ知らないでいいさというスタンスである。

 わからないまま数日、いや数年を過ごしたある日、何かの本で偶然アヤメとカキツバタの違いを発見する。そのときの「発見感」とでも言えばよいだろうか、あたかも自分だけが知っているような密かな喜びといったらなかった。検索機能はそういう喜びを我々から奪ってしまった。「物知り」という言葉も死語となった。

 とはいえ、こうなったのは私なんかにはどうしようもないし、それも世の流れで、発見感などはもう二度と戻ってこないし、そのことが悲しいわけでもない。ただ「そういう歴史」というだけだ。